Written by Asami chan

3ラインモデルの第2ラインって誰?専門部署がない会社で考えてみよう

WORK


「3ラインモデル」って、聞いたことありますか?

CIAの勉強をしていると出てくる、組織の役割分担を整理する考え方です。

第1ラインは現場、第3ラインは内部監査。監査の試験だし、ここはなんとなくイメージできる。
……じゃあ、第2ラインって誰?

ここで少し迷いませんか? 説明を読んでみると、今度はこんな疑問も。

「第2ラインはマネジメントの一部」って、つまり社長のこと?

そう読みたくなりますよね。「経営陣」と聞くと、私も社長や役員を思い浮かべます。

でも、3ラインモデルでいうマネジメントには、現場で仕事を進める役割と、リスク管理を専門的に支える役割の両方が含まれます。

Asami
「社長」と答えたら必ず間違い、という話ではないよ。ただ、肩書きだけでは決められないんです。その人が何をしているかを見てみよう。
Asami
1・2・3は、偉い順でも、対応する順番でもないよ。仕事の「役割」を分けたものです。

まずは図で。第2ラインはどこにいる?

組織を監督する主体
取締役会など
↓ 委ねる・監督する
↑ 状況を報告する
マネジメント
業務とリスクを管理する側
第1ライン仕事を進めるその仕事のリスクにも対応
↕ 相談・支援・監視
第2ライン専門的に支えるリスク管理を助け、点検・指摘
↓ 監督・独立性を支える
↑ 直接報告する
第3ライン内部監査独立した立場で
評価・助言

第1・第2ラインの仕組みも評価対象

役割の違いを見るための簡略図。各ラインは連携します。番号は序列や手順ではありません。
社長・経営陣と、取締役会はどう違う?

経営陣は事業を動かす側。取締役会などは、その経営を監督する側。社長が取締役を兼ねるなど、人が重なっても役割は分けて考えます。

内部監査は、経営陣に都合の悪い結果でも伝えられるよう、監督する主体への直接の報告関係を持ちます。ほかの取締役に話せるだけでなく、監査の範囲や判断に不当な干渉を受けないことも大切です。

取締役会がない組織にも、このモデルは使えます。ただし、経営と監督が同じ人に集中する場合は、内部監査の独立性をどう確保するかが課題になります。

ネットショップの「顧客情報」で考えてみよう

配送会社へ住所データを送る場面です。情報を漏らさず商品を届けるために、こんな仕事があります。

第1ライン|発送担当者・その上司
「送信先は合っている? 不要な顧客情報は除いてある?」
日々の発送を、安全に進める。
第2ライン|個人情報保護の担当者
「この共有設定だと、関係ない人にも見えてしまいますよ」
安全な扱い方を教え、各部署が守れているか点検する。
第3ライン|内部監査
「ルールや点検は、実際に情報漏えいを防ぐ仕組みとして機能している?」
発送業務と、個人情報保護担当者の取り組みも評価する。
Asami
内部監査も社内の部門で大丈夫。「独立」は、評価する業務の責任を引き受けず、干渉を受けずに判断できることが大切なんだね。

「上司がチェックする」は第2ライン?

ここ、迷いやすいところです。同じチェックでも、何のために行うかが違います。

発送チームの上司
今回の送信を承認する
→ 自分のチームの業務を管理する第1ライン
個人情報保護の担当者
各部署の扱い方を専門的に点検する
→ リスク管理を支援・監視する第2ライン

「部下の次にチェックするから第2」ではないんですね。

Asami
専門部署がない会社なら、総務の人が個人情報保護の担当を兼ねることもあるよ。ただし、備品の発注まで第2ラインになるわけではありません。

会社によっては、社長自身が専門的な支援・監視の役割を担う場合もあります。第1・第2ラインを兼ねることもあるので、肩書きや部署名より、その仕事の役割を見る。ここが分かると、知らない会社の例でも考えやすくなります。

この仕事、どの役割? 3問で確認

Asami
選択肢をタップしてみてね。「なぜそうなるか」も開くよ。

Q1 上司が承認したら?

営業課長が、顧客に送る見積書の金額と送信先を確認し、送付を承認しました。この確認はどの役割でしょう?

A.第1ライン
正解! 自分の部署の営業活動を、安全・正確に進めるための確認です。上司の承認も、第1ラインの業務に含まれます。
B.第2ライン
「チェックしているから第2」とは限りません。今回は日々の営業業務の管理なので、Aの第1ラインです。
C.第3ライン
課長は営業業務を進める当事者です。独立した内部監査としての評価ではないので、Aの第1ラインです。

Q2 専門部署がなくても?

総務担当の田中さんが、兼務で各部署に個人情報保護の研修を行い、管理状況を点検しています。この取り組みは?

A.総務なので第1ライン
部署名だけでは決まりません。今回は個人情報保護を専門的に支援・監視しているので、Bの第2ラインです。
B.第2ラインの役割
正解! 専任の部署がなくても、その役割は担えます。同じ田中さんでも、備品を発注する仕事とは分けて考えます。
C.点検しているので第3ライン
点検という動作だけでは第3ラインになりません。今回は業務側の専門的な支援・監視なので、Bです。

Q3 第2と第3、何が違う?

個人情報保護の担当者も内部監査も、情報の扱い方を確認しています。第3ラインを見分ける説明として適切なのは?

A.第2ラインより後に確認する
番号は実施順ではありません。それぞれの役割は並行して働きます。判断のポイントはBです。
B.独立した立場で、管理の仕組みを評価する
正解! 内部監査は、現場の管理だけでなく、第2ラインの支援・点検が機能しているかも評価します。自ら業務を管理する責任を負わないことが大切です。
C.社外の人が確認する
社内の内部監査部門も第3ラインです。「独立=社外」ではありません。役割と報告関係を見るBが適切です。

「誰の下にいる?」より「何の役割で確認している?」。この一言を持って、問題に戻ってみてくださいね。

具体例になると迷うところは、CIAの学習相談でも一緒に整理しています。

参考:IIA「3ラインモデル」原則3〜5・役割の説明。図・業務例・練習問題は理解を助けるために作成しています。