Written by Asami chan

アドバイザリー業務とは?内部監査の7つの具体例【CIA】

CIA・内部監査


読者さん読者さん
アドバイザリーって、相談に乗ることですよね? でも、実際に何をするんですか?
AsamiAsami
「助言する」だけだと、仕事が浮かばないよね。今回は配送会社の内部監査だったら、何を手伝うのか見てみよう!

アドバイザリー業務(コンサルティング業務)には、研修やシステム開発への助言など、いろいろな仕事があります。この記事では、CIA Part 1のシラバスに沿って7つの具体例を紹介します。

アドバイザリー業務って、例えばこんな仕事

ある配送会社が、新しい配送管理システムを導入することになりました。担当者から内部監査に、こんな相談が来ます。

「お客様の住所や電話番号を扱うので、導入前に気を付けることを教えてほしいです」

内部監査は設計案を見て、「配送先の情報を全社員が見られる必要はある?」「住所を変更した人の記録は残る?」と確認し、必要な対策を提案します。

AsamiAsami
作る人が見落としそうなリスクや、必要な確認の仕組みについて、内部監査の視点を加えるんだね。

これがアドバイザリー業務の一例です。組織の判断や改善に役立つ助言・支援を行いますが、その業務としてアシュアランスを提供したり、経営管理の責任を引き受けたりはしません。

どの仕組みを採用し、導入して運用するかは経営側・担当部署の責任です。内部監査は、自分が行う助言の品質には責任を持ちます。

何をどこまで手伝うかは、関係者と合意する

「相談に乗ります」だけだと、お互いに期待することがずれてしまいます。

例えば、「今回は導入前の設計案について、個人情報とアクセス権限を中心に助言する」と、目的・範囲・役割をすり合わせます。

AsamiAsami
何でも丸ごと引き受けるのではなく、「何を手伝うか」「誰が決めるか」を最初にはっきりさせよう。

なお、以前自分が責任を持っていた業務への助言では、引き受ける前に、客観性を損なう可能性を依頼者へ伝える必要があります。「詳しいから適任」とだけ考えず、自分の仕事をかばってしまう可能性にも注意しましょう(GIAS基準2.2)。

担当の決め方や開示が必要な場面は、内部監査の客観性を守るルールと対応で整理しています。

CIAで学ぶアドバイザリー業務の7つの具体例

どれも、配送会社から相談を受けた場面を想像してみてください。

① リスク及びコントロールの研修

「誤配送を防ぐために、営業所の担当者向けに研修をしてほしい」

内部監査は、誤配送が起きる原因と、それを防ぐ確認の仕組みを教えます。「自分たちの営業所では、どこで間違いが起きそう?」と考えてもらう場をつくることもあります。

現場がリスクを理解し、自分で対処できるように支援する仕事。毎日の配送先チェックを内部監査が代行するわけではありません。

② システムの設計と開発への助言

「新しい配送システムの設計案を、内部監査の視点で見てほしい」

先ほどの例です。アクセス権限、変更履歴、誤入力を防ぐ機能などについて助言します。

完成後に問題が見つかって作り直す前に、必要なコントロールを検討できるのが、この段階で関わるよさです。採用する機能や本番稼働の最終決定は、経営側・担当部署が行います。

③ デュー・ディリジェンスへの支援

読者さん読者さん
デュー・ディリジェンス……またカタカナ!
AsamiAsami
ここでは、会社を買収する前の調査をイメージしてみよう。「買ってから困らないように、先に確かめたい」という場面だね。

配送会社が別の運送会社の買収を検討しているとします。内部監査は、合意した範囲で、買収候補の事故対応や管理体制などを調べ、意思決定に必要なリスク情報を整理します。

判断の材料を提供することと、買収を決めることは別です。ここでは、意思決定を支援するアドバイザリーとして関わる例を挙げています。

④ データ・プライバシーの維持への助言

「配送先の住所や電話番号、配達が終わった後もずっと残してよいのでしょうか?」

内部監査は、情報を何のために集め、誰が使い、いつまで保存して、どう削除するかについて、担当部署が仕組みを整えるための助言をします。

漏えいを防ぐことだけでなく、個人情報を必要な目的・範囲で適切に扱えるかという視点です。日々のデータ管理は担当部署が担います。

⑤ ベンチマーキング

「うちの営業所は再配達が多い。他の営業所のよい取り組みを参考にできない?」

内部監査は、他の営業所や優れた実務との比較を通じて、改善のヒントを整理します。

AsamiAsami
「うまくいっているところと比べてみよう」ということ。ただし、配送エリアや荷物の量が違うなら、数字をそのまま比べないようにね。

比較結果を踏まえて何を取り入れるかは、営業所や経営側が判断します。

⑥ 内部統制評価への支援

「現場で確認の仕組みを点検したいけれど、何を見ればよいか分からない」

内部監査は、評価の観点や方法を助言したり、改善の検討を支援したりします。現場による自己評価の支援も、その一例です。

例えば、「配送先が変更されたら、ドライバーに確実に伝わるか」「伝わったことを確認できるか」を、担当者と一緒に整理します。

AsamiAsami
「内部統制を評価する」とあるだけでは、業務の種類は決まらないよ。現場の評価や改善を支援するのか、独立した評価に基づく保証を提供するのか。目的まで見てみよう。

⑦ プロセス・マッピング

「部署ごとの仕事は分かるけれど、配送までの全体の流れが見えない」

内部監査は、担当者と一緒に業務の流れを図に整理します。

受注
↓
住所の確認
↓
配車・ドライバーへの連絡
↓
配達・完了登録

流れを見えるようにすると、「住所変更の情報を、誰が次の担当者に伝えるの?」「ここで同じ情報を二度入力しているね」と、引き継ぎの抜けや重複に気付きやすくなります。

内部監査は整理や改善案の検討を手伝い、新しい業務手順の決定と運用は担当部署が行います。

「調べたからアシュアランス」とは限らない

読者さん読者さん
買収前の調査とか、内部統制の確認って、アシュアランスでもやりませんか?
AsamiAsami
やるよ! だから「調べた」「確認した」という動作だけでは区別できないんだね。
アシュアランスの例

「配送システムの権限管理は適切に機能している?」
→ 証拠に基づいて評価し、結論を示す。

アドバイザリーの例

「権限管理を改善したい。設計案に意見がほしい」
→ 合意した範囲で、改善方法を助言する。

確かめるのは、何を提供するための仕事なのか。アドバイザリーでも調査や分析は行いますし、アシュアランスでも改善提案はします。

違いをもう少し確認したい方は、アシュアランス業務とアドバイザリー業務の違いもどうぞ。

CIA対策:例題で確認してみよう

以下はCIA学習用のオリジナル問題です。公式問題ではありません。

AsamiAsami
選択肢を押すと解説が開くよ。「何を手伝うか」と「誰が決めるか」に注目してみてね。

例題① システム導入への関わり方

配送会社が新しい配送管理システムを導入する。内部監査には、設計段階でリスクとコントロールについて助言することが求められている。内部監査人の対応として最も適切なのはどれか。

A.利用者のアクセス権限を最終決定する
不正解。権限の設定方針について助言はできますが、業務上の権限を最終決定する責任は経営側・担当部署にあります。
B.変更履歴を記録する仕組みの必要性を説明する
正解! 必要なコントロールについて助言する役割です。採用の判断や実装・運用の責任は引き受けていません。
C.システムの本番稼働を承認する
不正解。本番稼働の承認は、この例では経営側・システム導入の責任者が担う意思決定です。
D.導入後のアカウント管理責任者を引き受ける
不正解。日々の運用責任を引き受けており、助言という役割を超えています。

例題② 内部統制の見直しを手伝う

営業所長から「現場で誤配送の原因を振り返り、確認の仕組みを改善したい」と相談された。内部監査は、独立した評価による保証を提供するのではなく、現場の自己評価を支援することで合意している。この依頼に合う対応はどれか。

A.現場の話し合いを進め、確認漏れが起きる箇所の整理を支援する
正解! 現場が自分たちの仕組みを見直せるように支援しています。内部統制の自己評価を支援するアドバイザリーの例です。
B.内部監査が毎日の配送先チェックを担当する
不正解。現場の運用そのものを引き受けています。自己評価を支援する仕事とは異なります。
C.内部監査が新しい配送手順を最終承認する
不正解。改善案は助言できますが、業務手順の最終決定は経営側・担当部署の責任です。
D.話し合いを行ったことだけを根拠に、誤配送対策は有効だと保証する
不正解。話し合っただけでは有効性を保証する根拠になりません。また、今回合意した業務は保証の提供ではなく、自己評価の支援です。
AsamiAsami
研修、比較、図にするお手伝いもアドバイザリー。用語だけで覚えるより、「この相談が来たら何を手伝える?」と考えると、仕事が浮かびやすくなるよ。

確認資料:日本内部監査協会・CIA Part 1シラバス(セクションA・6)/IIA・グローバル内部監査基準(用語集、基準2.2・13.3)。配送会社の場面は理解のために作成した例です。

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