CIAの客観性と独立性の違い|取締役会に報告できれば、公平に監査できる?
Asamiまず、この監査人を想像してみてください
ある配送会社の内部監査部門は、取締役会に直接報告できます。経営陣から「ここは調べるな」「この指摘は消して」と言われることもありません。
ところが、監査を担当した人は、配送センターで承認手続きの不備を見つけて、こう考えました。
Asami監査できる体制は整っていても、親しい人への気持ちが評価に入り込んでいます。
独立性は「活動できる体制」、客観性は「公正に判断する姿勢」
組織上の独立性は、内部監査部門が不当な介入を受けずに活動できる立場・体制のこと。
客観性は、監査人が偏見や個人的な利害に左右されず、公正に判断する精神的態度のことです。
GIASでも、客観性は原則2・基準2.1、組織上の独立性は原則7・基準7.1で扱われています。GIAS原文
例えば、同じ不備でも、
- 親しい人が担当しているから、軽く扱う。
- 苦手な人が担当しているから、厳しく扱う。
どちらも、事実以外の理由で判断が偏っています。
Asamiなぜ、取締役会に直接報告できることが大切なの?
例えば、監査で経営陣にとって都合の悪い問題が見つかったとします。
その経営陣の許可がなければ報告できない仕組みだと、問題が途中で止められてしまうかもしれません。
そこで大切になるのが、経営陣を監督する取締役会へ、直接伝えられる関係です。
ただし、報告先が取締役会なら、それだけで安心というわけではありません。実際に調査や報告を妨げられていないことも必要です。
そして、その体制があっても、先ほどの監査人のように、自分から仲間をかばってしまうことはあります。
「伝えられる体制があること」と「公正な内容を伝えること」は、別なんですね。
選択肢では「何を説明しているか」を見る
客観性の説明を選ぶ問題で、次の2つが並んだらどうでしょう。
- 監査範囲や報告を、不当に制限されない組織上の立場。
- 偏見を持たず、事実に基づいて公正に評価する精神的態度。
どちらも内部監査に必要ですが、前者は独立性の説明、客観性の説明は後者です。
体制の話なのか、判断の姿勢の話なのかを読み分けます。
なお、実際には両方が問題になる場面もあります。
例えば、経営陣が「この取引は調べるな」と監査を妨げる。さらに監査人も「逆らいたくない」と、見つけた不備を根拠なく軽く評価してしまう場合です。
- 調査を不当に妨げられている → 独立性の問題。
- 圧力に合わせて評価を曲げている → 客観性の問題。
こうしたとき、監査人は一人で抱えず、CAE(内部監査部門長)や指定された監督者に状況を伝えます。CAEは監査への介入について取締役会と共有し、介入の解消や、必要に応じた担当変更・評価の見直しなどを進めます。
参考:GIAS基準2.3・7.1。CAE自身の客観性が損なわれている場合は、CAEから取締役会へ開示します。
見分けるポイントは、何が監査を妨げ、何が判断を偏らせているのかです。
確認してみよう
以下は学習用のオリジナル問題です。
内部監査部門は取締役会に直接報告でき、経営陣からの介入もありません。ところが、監査人は親しい担当者の不備を意図的に軽く評価しました。
特に問題となっているものはどれでしょう?
A.組織上の独立性
B.客観性
解答・解説を開く
正解は B:客観性。
この場面では、調査や報告の体制が妨げられているのではなく、監査人自身の評価が人間関係によって偏っています。
Asami