Written by Asami chan

COSOって何?内部統制の5つの構成要素とキューブをやさしく整理

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「統制環境は、内部統制の基盤です」

そう言われても、「基盤って、どういうこと?」「そもそも内部統制のフレームワークって何?」と、ピンとこないことはありませんか?

もしかすると、統制環境という言葉だけを見ていて、内部統制の全体像がまだつながっていないのかもしれません。

そんなときは、少し引いて全体を見てみましょう。今回はCOSOの内部統制フレームワークを使って、統制環境がどこに位置するのか、会社でありそうな場面と一緒に整理していきます。

この記事で分かること

  • COSOの内部統制フレームワークとは何か
  • 5つの構成要素と、キューブの3つの軸の違い
  • 行動規範やTone at the Topが、統制環境とどうつながるか

前の記事:統制環境って何?「チェックの仕組み」との違いを考えよう

まずは、この問題を考えてみよう

✎ オリジナル練習問題

ある会社では、行動規範で「誠実な取引」を掲げています。しかし経営者は、業績のよい管理職による虚偽報告を把握しても、「今は売上を優先したい」と対応を見送っています。

この状況で、内部統制の基盤に関わる問題を最も適切に説明しているものはどれでしょうか。

  • A. 行動規範があるため、倫理に関する統制環境は十分に整っている
  • B. 経営者の行動が、組織の掲げる倫理的価値観と矛盾している
  • C. 虚偽報告の原因は、報告システムの入力機能にある
  • D. 売上が伸びていれば、内部統制は有効と判断できる
学習者
行動規範があっても、それを経営者が守っていないのが問題かな?
AsamiAsami
そう。正解はBです。「誠実に行動しましょう」と書いてあっても、実際には虚偽報告を認めていたら、社員は何を優先すると思う?
学習者
正しく報告することより、売上を作ること……。
AsamiAsami
そうだよね。経営者が言葉や行動で何を大切にしているかは、統制環境を考える手がかりになるよ。

COSOって、そもそも何?

COSO(コソ)は、アメリカの会計・内部監査などの専門団体が支える民間の組織です。内部統制やリスク管理の枠組み・ガイダンスを公表しています。

今回見るのは、「内部統制の統合的フレームワーク」。1992年に公表され、2013年に改訂されました。COSOにはERMのフレームワークもあるので、調べるときは「内部統制の方だな」と確認してみてください。

参考:COSO公式 / フレームワークの沿革

CIAのシラバスにも、内部統制フレームワークを使う目的や利点の理解が含まれています。だから、試験勉強でも全体像を知っておく意味があるんですね。シラバス・参考文献・グローバル内部監査基準との関係は、別の記事で整理します。

参考:日本語版CIA Part 1シラバス・Section C 8.b

学習者
フレームワークって、チェックリストみたいなもの?
AsamiAsami
チェックリストを作るときの「整理する観点」に近いかな。承認ルールだけでなく、人や組織、情報の伝わり方まで含めて見ていくための枠組みだよ。

内部統制を考える、5つの構成要素

言葉だけだと難しく感じるので、会社の場面に置き換えてみましょう。

構成要素 何を見る? たとえば
統制環境 統制が機能する組織の土台 経営者が倫理を重視し、権限・責任を明確にする
リスク評価 目標の達成を妨げるリスク 売上への圧力から虚偽報告が起こる可能性を分析する
統制活動 リスクに対応する具体的な手続 売上計上に証拠書類と承認を必要とする
情報と伝達 必要な情報が、必要な人に届くか 報告ルールや問題点を関係者へ伝える
モニタリング活動 内部統制が存在し、機能しているか 運用状況を評価し、不備の改善を確認する

統制環境には、倫理観のほかに、取締役会の監督、権限と責任、人材の能力、説明責任なども含まれます。「経営者の人柄」だけの話ではないんですね。

参考:COSO公表の実装ガイド・本文5〜6頁

学習者
冒頭の会社には、承認や確認の手続を増やせばいいんじゃない?
AsamiAsami
手続も大事だよね。でも、経営者が「売上のためなら虚偽報告も仕方ない」と認めていたら、手続が形だけになるかもしれない。だから、統制環境が「基盤」と呼ばれるんだ。

キューブは「3つの問い」を重ねたもの

教材で立方体の図を見たことはありませんか?あれがCOSOのキューブです。いろいろな言葉が並んでいますが、まずは次の3つに分けると分かりやすいと思います。

① 何のために?
業務・報告・コンプライアンスという3つの目的

② どんな観点で整える?
先ほどの5つの構成要素

③ 組織のどこで?
全社、事業部、業務単位、機能など

たとえば「営業部の報告の信頼性」を考えるときも、承認手続だけでなく、経営者の姿勢やリスク、情報の伝わり方、運用の評価まで見ていきます。この重なりを表しているのがキューブなんですね。

ちなみに「報告」は、財務報告だけに限りません。

参考:COSO公表の実装ガイド・本文5〜7頁

学習者
基盤なら、統制環境は図の一番下じゃなくていいの?
AsamiAsami
そこ、気になるよね。「基盤」は役割を表す言葉なんだ。キューブでは上に描かれているけれど、意味は変わらないよ。図の上下は、作業の順番ではないと考えてね。

行動規範や、会社からのメッセージもつながっている

行動規範は、組織として期待する行動や倫理的な基準を示すものです。Tone at the Topは、経営トップが言葉や行動で示す、倫理や統制に対する姿勢、と考えるとイメージしやすくなります。

学習者
年に一度、社長やコンプライアンス責任者から届くメッセージも関係ある?
AsamiAsami
うん、関係あるよ。Zoomの研修やeラーニングで行動規範を説明したり、受講率を確認して未受講の人に案内したり。そういう取組も、組織の考え方を伝えることにつながるね。
学習者
じゃあ、全員が研修を受けていれば安心?
AsamiAsami
受講率は、教育が届いたかを確認する手がかりにはなるよ。でも、理解して実践できているかは別だよね。理解度や普段の行動、違反が起きたときの対応も見たいところ。

「誠実さを大切に」と伝えながら、成績のよい人の違反は見逃す。それでは、冒頭の問題と同じになってしまいます。

また、倫理的な姿勢を示すことは統制環境に関わりますが、研修で伝えることには「情報と伝達」の側面もあります。一つの取組が、複数の構成要素につながると考えてみてください。

今回は、統制環境をCOSOの全体像の中で見てみました。次の記事では、CIAの学習で「問題文のどこに注目して、構成要素を読み分けるか」を一緒に考えていきます。

解説を読むと分かるけれど、問題になると迷ってしまう。そんなときは、どんなふうに考えたかを言葉にしてみると、つながることもあります。一人では整理しにくいところは、学習相談で一緒に考えることもできます。

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