リスクアペタイトとリスクトレランスの違いは?配送会社の例で解説【CIA】
そもそも「あぺたいと」って何?
Asami
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Asamiここでは、目標からのズレをどこまで許せるかだよ。配送会社の例で比べてみよう。
まず、2つの意味を短く整理
組織が戦略や目標の達成に向けて、受け入れる意思のあるリスクの種類と量。
個別の目標に対して、実績がどこまで逸脱してよいかという許容範囲。
アペタイトは戦略や投資を判断するときの指針。トレランスは、個別の目標に対する実績を判断するときの基準になります。
配送会社の例で、違いを見てみよう
「配送の速さで選ばれる会社になりたい」。そんな目標を持つ配送会社を考えてみましょう。
アペタイト:速さのために、何を受け入れる?
ただし、安全に関するリスクは極力抑える。
例えば、配送を速くするために応援スタッフを手配すれば、人件費が想定より増える可能性があります。そのリスクは一定程度受け入れる。でも、無理な運転で速く届けようとはしない。
このように、目標達成のために、どんなリスクをどの程度受け入れるかという会社の方針がリスクアペタイトです。
Asamiトレランス:時間どおりに届く割合は、どこまで下がってよい?
では、実際の配送状況をどう判断するのでしょうか。ここでは仮に、こう決めたとします。
許容する下限は95%。
目指している水準です。
目標には届いていないため、改善の余地を確認します。
遅れの原因を調べ、必要な対応を検討します。
この個別の目標から、どこまでのズレを許容するかがリスクトレランスです。
Asamiつまり、「速く届けるため、どんなリスクを引き受ける?」と「時間どおりに届いた実績は、許容範囲内?」。決めていることが違うんですね。
誰が決めるの?経営者?部門長?
会社全体の方針を決めることと、部門で使う基準にすることを分けるとイメージしやすいです。
配送会社なら「速さのためのコスト増は一定程度受け入れる。でも、安全面は慎重に」という全社の方針を考えます。
配送部門の責任者が経営陣と調整し、「定時配送率の目標は98%、許容する下限は95%」といった基準に落とし込みます。
具体的な決裁者は会社の権限分担によります。「アペタイトは社長、トレランスは部門長」と肩書きだけで固定しないでくださいね。
Asami内部監査は、許容範囲を自ら決める担当ではありません。設定や運用が適切かを評価し、必要に応じて助言する立場です。
見分けるのは「数字があるか」ではない
今の例だと「アペタイトは言葉、トレランスは数字」と覚えたくなるかもしれません。でも、アペタイトも金額や割合で表せます。
選択肢では、数字の有無よりも何を定めているかを見てください。
| アペタイト | トレランス |
|---|---|
| 組織として受け入れる リスクの種類と量 |
個別目標に対する 逸脱の許容範囲 |
| 速く届けるために どんなリスクを引き受ける? |
この実績のズレは 許容範囲に収まっている? |
2つは別々に好きな基準を置くものでもありません。個別目標の許容範囲も、組織としてのリスクの受け入れ方と整合させます。
CIA対策:例題で確かめてみよう
以下の3問は、CIA試験を意識して作成したオリジナル問題です。公式問題ではありません。
Asami選ぶ前に「これは何を決めている?」と考えてみてね。
例題① リスクアペタイト声明
ある企業では、各事業部が独自の判断でリスクを引き受けており、組織全体の戦略と整合しない投資が行われていた。
この状況を改善するため、リスクアペタイト声明に定める内容として、最も適切なものはどれか。
A.各投資案件の収益目標に対する、具体的な逸脱の許容範囲
B.戦略的目標の達成に向けて、組織が受け入れるリスクの種類と量
C.各事業部で識別したリスクと、その発生可能性・影響の一覧
D.投資の申請から承認までに必要な、具体的な業務手続き
例題② リスクトレランス
内部監査人が、飲食店チェーンのリスク管理をレビューしている。次のうち、リスクトレランスを示すものとして最も適切なのはどれか。
A.新規出店による成長のため、一定の投資損失リスクを受け入れる。
B.食材価格が上昇する可能性と、利益への影響を分析する。
C.食材の廃棄率は仕入量の2%を目標とし、目標を超えても3%までは許容する。
D.食材の廃棄を減らすため、毎日の在庫を確認して発注量を調整する。
例題③ 目標未達なら、許容範囲外?
ある配送会社は、定時配送率の目標を98%、許容する下限を95%と定めている。今月の実績は96%だった。
この実績の捉え方として、最も適切なものはどれか。
A.95%を上回っているため、目標を達成している。
B.98%を下回っているため、許容範囲も外れている。
C.目標には届いていないが、定めた許容範囲内にある。
D.今月の実績に合わせ、配送部門が独断で目標を96%に変更する。
定義・解説の確認に使用した一次資料
IIA:Global Internal Audit Standards 用語集比較(2024)の「risk appetite」「risk tolerance」。
COSO:Risk Appetite—Critical to Success(2020)、本文5・10・15・19〜22ページ。配送会社・飲食店の場面や数値は説明用の例です。