統制環境って何?「チェックの仕組み」との違いを考えよう|CIA Part 1
✓ 統制環境と統制活動の違い
✓ 会社の具体例から、問題の判断ポイントを見つける方法
CIAの問題演習で出てきた「統制環境」。解説には「内部統制の基盤」と書いてあるけれど、何を指しているのか、ピンとこない。そんなことはありませんか?
今回は、会社でありそうな場面から、統制環境と具体的なチェックの違いを考えてみましょう。
※会話は、学習中に迷いやすいポイントを説明するために構成したものです。特定の受講者の発言をそのまま掲載したものではありません。問題はこの記事用に作成したもので、CIA公式問題ではありません。
2025年版CIA Part 1の詳細シラバス、Section C・2.aには「組織体の文化と統制環境を定義する」という項目があります。今回は、そのうち統制環境を扱います。
日本内部監査協会掲載・日本語版シラバス(PDF4ページ目)
まずは、この場面を考えてみよう
ある会社では、取引先への支払いに承認が必要です。しかし、営業成績のよい社員が承認を省略しても、経営者は「成果が出ていれば問題ない」と容認しています。
この状況から、統制環境について最も直接的に懸念されることはどれでしょうか。
- A. 支払申請の入力項目が不足していること
- B. 支払データと銀行明細の照合頻度が低いこと
- C. 経営者の姿勢が、ルールを軽視する行動を助長していること
- D. 支払処理システムの障害対策が不足していること
Asami
Asami正解はCです。A・B・Dに挙げた問題は、この設問の情報からは確認できません。
統制環境と統制活動は、何が違う?
この例を分けると、こうなります。
| 具体例 | 対応する考え方 |
|---|---|
| 支払いには承認を必要とする | 統制活動 リスクに対応する具体的な方針・手続 |
| 経営者がルールを尊重し、自らも守る姿勢を示す | 統制環境 統制が機能するための組織的な土台 |
AsamiCOSOの内部統制フレームワークでは、統制環境に、倫理観、取締役会の監督、権限・責任、人材、説明責任などが含まれます。経営者の人柄だけを指す言葉ではありません。
参考:COSO「内部統制の統合的フレームワーク」エグゼクティブ・サマリー 日本語訳・本文10~11頁(日本公認会計士協会掲載)
「うちの会社なら?」と考えてみると
たとえば、会社の行動規範や、年に一度届くコンプライアンス責任者からのメッセージ。「成果のためでも、不正は認めない」と、会社が大切にする姿勢を示すものなら、統制環境とつなげて考えられます。
ただし、挨拶や文書があるだけで十分、ということではありません。経営者自身がその姿勢を日々の判断や行動で示しているかが大切です。このようなトップの姿勢は、Tone at the Topと呼ばれます。なお、メッセージをどう社員に届けるかに着目すれば「情報と伝達」にも関わります。
自分の言葉で説明してみよう
解説を見ずに、ひとこと説明してみましょう。
「承認ルールは具体的な手続。経営者の姿勢は、その手続が機能する組織の土台に関わること」。そんなふうに違いを説明できるか、確かめてみてください。
今回は、統制環境と具体的なチェックの違いを整理しました。では、なぜ統制環境は「内部統制の基盤」と呼ばれるのでしょうか? 次回は、行動規範やTone at the Top、コンプライアンス責任者からのメッセージなど、身近な例とつなげて考えます。COSOの全体像の中での位置づけも整理する予定です。
ひとりで整理しにくいところは、一緒に考えましょう
解説を読んで「なるほど」と思っても、別の問題になると迷うことはあります。
そんなときは、「何を聞かれていると思ったか」「なぜその答えを選んだか」を言葉にすると、整理できることがあります。
学習相談でも、その考え方を一緒にたどりながら、理解がつながるところを探しています。ひとりでは整理しにくいときの選択肢として、役立ててもらえたら嬉しいです。