ガバナンスは誰が担う?取締役会・経営者・内部監査の役割【CIA】
AsamiCIAで出てくるガバナンスの登場人物。肩書きだけ覚えるより、「この場面で、誰が何をする?」で考えると整理しやすくなります。
ガバナンスそのものの意味は、ガバナンスとは?経営陣も「監督される側」になる理由で解説しています。今回は、役割と枠組みを一歩深めます。
事業会社なら、新しい商品を売り出すとき
ある会社が、温度管理の必要な食品を販売することになりました。売上を伸ばしたい一方、保管温度を守れなければ、品質事故につながります。
取締役会:会社としての方向性を示し、経営を監督する
「この事業は会社の戦略に合っているか」「安全面のリスクに対応できるか」。経営陣の計画を検討し、開始後も事故や収益の状況を報告させます。
売上が伸びていても、重大な事故が隠されていたら問題です。経営陣が適切に判断・行動し、説明しているかを見る役割です。
最高経営者(CEO):事業を動かし、結果に責任を持つ
冷蔵設備に予算をつける、担当部門を決める、異常時の対応を整える。経営陣は、方針を実際の業務に落とし込み、リスクを管理します。
取締役会へ状況を報告することも役割の一つ。現場任せにして、事故の報告を待つだけではありません。
内部監査:その仕組みが機能しているかを独立した立場で評価する
温度記録を確認し、異常が起きたときの対応や、経営陣・取締役会への報告が適切だったかを調べます。
内部監査が温度管理を毎日行うのではなく、温度管理と報告の仕組みが機能しているかを評価する、という違いです。
Asamiその他のアシュアランス・プロバイダって誰?
難しい名前ですが、「ある対象を評価し、信頼できるかを判断するための情報を提供する人・部門」と考えてみてください。
この会社なら、例えば次のような存在です。
- 品質保証部門:品質基準を守れているか、点検・評価する。
- コンプライアンス部門:表示や販売方法などが法令に沿っているか確認する。
- 外部の認証機関:認証の対象範囲について、定められた規格に適合しているか評価する。
同じ会社を見ていても、確認する範囲や目的、独立性はそれぞれ違います。
AsamiGIAS基準9.5では、CAEは他のアシュアランス提供者と連携し、その業務への依拠を検討します。誰が、どこまで、どんな根拠で確認したかを確かめ、依拠する根拠を文書化します。他者の仕事を使っても、内部監査の結論に対するCAEの責任は残ります。
フレームワーク・原則・モデルは何に使う?
名前が並ぶと覚えることが増えた気がしますよね。まずは、何を整理するために使うのかを見てみましょう。
原則:ガバナンスで大切にする考え方
例えばG20/OECDコーポレートガバナンス原則。株主の権利、情報開示、取締役会の責任などを扱います。
先ほどの会社なら、「経営陣が都合の悪い情報を隠していないか」「取締役会が適切に監督しているか」を考える手がかりになります。
モデル:役割と関係を整理する
IIAの3ラインモデルは、統治機関、マネジメント、内部監査の役割と関係を整理するモデルです。
商品の温度を管理する現場、専門的に支援・監視する部門、独立して評価する内部監査。「誰が何を担うのか」が曖昧なときに役立ちます。取締役会も、ガバナンスを担う主体としてモデル全体に含まれます。
フレームワーク:必要な要素を体系的に見る枠組み
例えばCOSOの内部統制フレームワークは、統制環境、リスク評価、統制活動、情報と伝達、モニタリング活動の5つから内部統制を整理します。
温度チェックの手順だけでなく、異常が報告されるか、改善状況を確認しているか、といった点まで見る助けになります。
COSOの内部統制フレームワークは、ガバナンスを支える内部統制の枠組みです。ガバナンス全体と同じ意味ではありません。
Asami原則・モデル・フレームワークは、完全に別々の箱ではありません。ここでは用途をつかむ入口として整理しています。GIAS基準9.1も、ガバナンスの理解にあたり、こうした原則や枠組み、モデルに通じていることを挙げています。
例題で確認してみよう
CIA学習用のオリジナル問題です。公式問題ではありません。
Asami問題1:内部監査が担うのは?
新商品の品質事故を防ぐため、各部門が対応しています。内部監査の役割として最も適切なのはどれでしょう?
A.毎日の保管温度を管理する
B.冷蔵設備の予算配分を決定する
C.温度管理と異常時の報告が機能しているか、独立した立場で評価する
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正解:C。 内部監査は、管理の仕組みが機能しているかを評価します。Aは日々の業務管理、Bは業務執行上の意思決定です。
問題2:外部の認証があれば安心?
外部機関が品質管理を評価しています。内部監査がその結果を利用する際、最も適切なのはどれでしょう?
A.認証があれば、関係するすべての監査を省略する
B.評価範囲や評価者の能力・客観性、業務の質を確認し、利用できる部分を判断する
C.外部の評価を使った部分の結論には、CAEは責任を負わない
答えと解説を見る
正解:B。 外部機関の評価と今回の監査目的が合うかを確認します。Aのように一律に省略はできず、Cのように結論の責任がなくなるわけでもありません。
問題3:役割の重複や抜けを整理したい
現場、リスク管理部門、内部監査が「誰がどの役割を担うか」を整理する際、特に役立つのはどれでしょう?
A.IIAの3ラインモデル
B.個々の商品の検品手順書
C.月次売上実績表
答えと解説を見る
正解:A。 役割と関係を整理する目的に合います。Bは具体的な作業手順、Cは業績情報です。
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参考:IIA グローバル内部監査基準(9.1・9.5)/IIA 3ラインモデル/G20/OECDコーポレートガバナンス原則/COSO 内部統制フレームワーク